人気ブログランキング | 話題のタグを見る
dr405 <s>さかな</s>野菜を食べると頭が良く
たとえ蟋蟀みたいといわれても、僕はそれでもきゅうりを食べる。胡瓜は、究理の音に通じ、その道を志すものにとってとても縁起の良い食べ物だからである、なんていう大層な理由ではなく、今、とっても安いから。

先日も、早くたべないと傷むから、と小松菜のおひたしを一生懸命たべていた。茹でてから冷蔵しておいたのを、予定外に外食をしてしまったりして少し放置しすぎたものに、ノンオイルドレッシングをかけてたべていたのだが、緑の葉の部分が一部くすんだ色になっている。その部分は、色、匂いともに野沢菜の漬物のようになっていて、食べるべきかどうか戸惑った。たんぱく質のものはともかく、野菜や果物は少々傷んでいても食べて平気であるという教育を受けて育った。納豆や味噌だって発酵食品だし、漬物だっていい具合に酸味がでているものも嫌いではない。そもそもにおいは野沢菜漬けのようだし、味だって大して変わっているわけではない。濃い味付けにしてしまえば、どうせわからないだろう。けれど、4把で50円で買ってきた小松菜だから、今、皿に載っているのは10円にも満たないのである。もちろん、安いから高いからというのは食べ物を粗末にしても良いという理由にはなり得ない。けれど、万が一無理をして食べて体を壊したら、かえって高くついてしまうのではなかろうか、と杞憂してみたのだ。まあ、実際には拾い食いしても平気な胃腸の持ち主であるから、たいしたことになるわけはないのだが。悩んだ末、変色の激しい一部のみ自然に還ってもらうことにした。

そのようなことを行い、また一部のストックを胃に移動させ、冷蔵庫をやっと整理した。別の一部は冷凍庫へとその居場所を変えただけではあるが、当面、目のつく場所は片付いている。それでまた淋しくなって、今日、また八百屋に寄ってきた。きゅうりと茄子が安かったので、一山ずつ抱えて帰ってくる羽目に陥った。だから、またきゅうりや茄子を食べ続けなくてはならない。

安いから買ったものを傷む前にと無理やり消費するのは、実は賢い行動とはいえないのかもしれない。そもそもそこにあるから食べなければいけないのであって、冷蔵庫に胡瓜をストックしていないときには胡瓜を食べようなどとは思わないし、思っても買ってくるのが面倒だからという理由で諦めるのである。けれど、どうせご飯をたべてもまたおなかがすくのだから、食べるのをやめよう、という訳には、どうもいきそうにない。それに、人はパンのみに生きるのではない。野菜だって食べなければいけないのだ。

(2004.08.05)
by shinakaji | 2004-08-06 04:02 | essay


<< dr406 ミスリーディング dr404 友達よこれが私の >>