dr424 サクラの寿命
 新聞によると、財団法人「日本さくらの会」(東京都千代田区)は、『(同会が選んだ)「さくらの名所100選」のうちソメイヨシノのある87か所の管理者にアンケート用紙を郵送して実施した』という調査の結果、『戦後に植樹され、春の花見客らを楽しませているソメイヨシノが管理の悪さや伝染病で、花の数を減らしたり、枯れ始めたりしている』ことがわかったらしい。『(ソメイヨシノが)野生種と比べ短期間で弱り「60年寿命説」もある』ことから、『「100選」以外の木でも衰弱が考えられる』と心配しているのだという。

 この記事を見たときに、絶滅に瀕して個体数が極端に減ったために、遺伝的多様性が極端に低いことで知られているチータを思い出した。( http://green-forest.hp.infoseek.co.jp/seimei-3.htm )『 さらに有名な例がチータで、かっては世界全体に分布していたが現在は東と南アフリカだけに生息し、絶滅に瀕している。チータは繁殖成功率が低く、精子濃度はネコの1/10、異常精子の割合も71%と例外的に高いが、これは近親交配を繰り返して遺伝的多様性が極端に低くなった為で、通常10~60%ある遺伝子座の多型がわずか3%しかない。実際、こうした遺伝的均一性のため非血縁個体間での皮膚移植が可能と言う。 』 これと対比して、多様性が失われることによる脆弱性を象徴しているように感じたのである。だが、これははっきりとした誤りであって、チータの例は「種としての寿命」の話であるし、ソメイヨシノの例では「個体としての寿命」(すべてのソメイヨシノが栄養生殖によって殖えたものであれば、遺伝的に同一であるから、個体としての寿命も似通っていて当然である)の話なので、本当は混同してはいけない。また、ソメイヨシノは、動物ではないので有性生殖する必要がないから、挿し木などの人為的な栄養生殖を続ける限り、その絶滅を危惧する必要もない。

 ソメイヨシノ( Prunus x yedoensis )は、生長が早く、接木苗より3~4年で開花するとされ、また葉が拓くよりも先に花が咲くので、江戸時代末期に売り出されたのちに主流となり、現在ではただサクラといえばソメイヨシノのことを指すような感さえもある。どうやって調べたのかしらないが、日本の桜の約80%がソメイヨシノであるといった記述も見かけた。なお、出っ歯で鼻の低い造作の顔を揶揄して「ヤマザクラ」と呼んだりするのは、花(鼻)より葉(歯)が先、という意味である。

 ( http://www.sci.osaka-u.ac.jp/cgi-bin/faq.cgi?lang=ja&k=biology )『 ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンとの種間雑種です。ロバとウマの種間雑種ラバや、トラとライオンの種間雑種ライガーと同様です。一般に種間雑種は不妊不稔で、子孫を残せません。配偶子を作るとき、相同染色体の対合ができないためだといわれます。ソメイヨシノも実(サクランボ)はなりません。 』という記述のように、ソメイヨシノは、雑種起源であるため、絶対に実をつけないという表現がされることが多いが、実際には実をつけているものもある。また、植物では動物よりも比較的簡単に種間雑種をつくりだすことができる。( http://hpcgi3.nifty.com/baramomi/gyoe_dis.cgi?sn14 )『 ソメイヨシノとオオシマザクラやヤマザクラとの交雑した個体とされるものも数多く生まれている。 』という記述もある。「交配種であるため実がつかない」という説明が、栄養生殖である挿し木や接ぎ木で殖やされたソメイヨシノが遺伝的にほぼ単一であることを説明するための枕詞に用いられることもあるが、これは、もともとサクラは自家受粉しにくい性質をもつことや、実生の苗は親と全く同じ形質を継ぐわけではないので、園芸品種として優れたソメイヨシノの性質を伝えるには、実生によるよりも接ぎ木や挿し木で殖やすほうが確実である(というか、この遺伝的な均一性も包含してソメイヨシノと呼ぶのであり、実生で殖えた個体はすでにソメイヨシノとは異なるものとして捉えるべきである)ことの結果にすぎない。

 ソメイヨシノは異なる個体でも、同じ環境下ではほとんど同じ時期に開花する。また、その開花時期は気温により影響をうける。( http://www1.plala.or.jp/kissan/princomp/1-2-2.html )『 小倉(1942)は,東京市内1地点における16年問の統計資料を用いて1月及ぴ2月,2月,3月1日~10日,3月1日~20日の日最低気温平均,日平均気温の平均,日根高気温の平均,更にI月及ぴ2月,2月の降水総量及ぴ1月と2月,2月,3月1日~10日の日照時間とソメイヨシノの開花の関係を調査した.その結果,ソメイヨシノの開花を回帰式により予想するに当たって,開花と密接な関係にある気象要素は開花前の気温であって,その他の気象要素とは密接な関係がないことを明らかにした. 』そのため、ソメイヨシノの開花日を、平均的な気温上昇の指標として用いることが可能だと考えるグループもある。これは遺伝的単一性により生じるものであるから、ソメイヨシノ以外のサクラは、この目的には合致しない。

 ソメイヨシノは中には100年を越える樹齢の個体も知られている一方で、一般的には寿命が短いとされる。一説には、およそ60年がソメイヨシノの寿命だと言われるが、これは排気ガスによる大気汚染などの環境悪化に弱いこと、テングス病( ちなみに漢字表記だと天狗巣病 )などに対する抵抗力がなく病気にかかりやすいこと等が影響している。果樹などの園芸品種でも、接ぎ木をした苗では種本来の寿命より短寿命であるのが一般的であるというような記述もあった。春がくるたびに、花見と称して、根を張った大地を踏み固めたりすることも、悪影響があるだろう。また、そもそもソメイヨシノという品種自体の歴史が浅く、品種の歴史それ以上に長生きしている個体が存在しないのも当然でもある。そういったことを考え合わせると、もし十分な条件を揃えた上で最長どの程度まで生きるかという、その種固有の本来の寿命が短いのかどうかは判らない。仮にソメイヨシノの寿命が本質的に短かったとしても、それは、遺伝的な多様性の低さや、交配種であることが原因であるというよりも、「はじめのソメイヨシノ」を選択した際の偶然の産物であり、その個体と同じ遺伝子を持つ個体が栄養生殖で多量に殖やされたためだと判断するのが妥当だと思う。すなわち、早熟で早く花が咲くという利点は、品種の育成に際しての個体選択の指標になっただろうが、寿命は選択の際には知り得ない情報であり、すなわち個体選択の指標になり得なかったはずだ。

 ソメイヨシノとヤマザクラ( Prunus jamasakura )を対比させたものに、( http://www.h2.dion.ne.jp/~hibiki-s/sakura16.htm )『 ソメイヨシノは生長が早く、接木苗より3~4年で開花しますが、山から掘り取ってきた自生の山桜や実生のものは、植えつけても開花までに10年以上を要するのです。ソメイヨシノは20年で成木になり、素晴らしい景観はおよそ樹齢50~60年までとされ、その後は急速に衰えます。一昔前の人の一生とよく似てますが、30~40年でピークを迎えるものもあり、美人薄命といったところでしょうか。 とはいえ長寿のものもあります。岡山県新庄町には、日露戦勝記念で植えられた樹齢100年のソメイヨシノ「がいせん桜」が今も健在です。日本最古のソメイは北国津軽の弘前公園にあり、樹齢120年以上と言われております。大切に育てられ、町民の愛情がそそがれた桜はそれに応えるのです。花は一重の微紅色で大きく、葉の開く前に咲くために華美で花付きもよいが、病気に弱く花は満開を過ぎると気品を失います。一つの花芽に4~5つの花がつきますが、古い木でも4つ以上花がつけば元気があるとされます。山桜は100年、200年はざらで、水戸黄門も愛でたと伝えられる茨城県の「大戸の桜」のように推定樹齢500年のもあります。巨木では静岡県の「狩宿下馬桜」のように樹齢800年以上、幹囲2丈8尺もあるのがあります。実際は病虫害、公害、伐採などの為に200年を越える大木を見ることはめったにありません。寿命が長い分、成木になるのも遅いのです。山桜はつややかな飴色の新葉とともに花の咲くところに特徴があり、木の成長が進む間は葉もよく茂り、花は見応えはしませんが、木の成長が止まる大木になりますと葉の勢いがなくなり、花が出てきますので見事な景観になります。 』という記述もある。

 ( http://k52.keys-keys.com/keys/k52/835C8381834383888356836D/ )『 しかし、ソメイヨシノには大きな欠点がある。寿命が短いことがそれで、30年過ぎたあたりから樹勢が目に見えて衰えてくる。すなわち、数十年ごとに木の植え替えが必要となる。戦後60年近くが経過した現在、いわゆる花の名所として数百本・数千本のサクラを植えている場所では、植え替えの手間・費用も馬鹿にならず、ソメイヨシノ一色の時代から、ヤマザクラ等を混ぜて植える時代へと変わりつつある。 』という記述をみつけたが、大学時代の恩師のひとりは、少なくとも今より15年以上も前から、若いころから花が咲くソメイヨシノとヤマザクラとを交互に植えるのがよいのに、と提唱していた。50~60年たってソメイヨシノの樹勢が衰えるころには今度はヤマザクラが成熟し見事な花をつけるのだ、という。混植というキーワードで検索してみても、ソメイヨシノとヤマザクラやシダレザクラ等を混植したサクラの名所もいくつかはあるようだが、必ずしも、この混植の手法があまり普及しているようでもないようだ。ほんの数十年の短期的な視点で見るだけならば、そこに植えるサクラをソメイヨシノだけで統一するのも、それなりに見栄えが良いものだろうが、数百年にわたる長期的な視野も同時に必要だろうと思う。
[PR]
# by shinakaji | 2005-04-08 23:31 | review
dr423 隣の家に囲いが…
 新聞によると、愛知万博の長久手会場には、バイオ・ラングと名付けられた緑化壁があるのだそうだ。写真も添えられている。人の背丈の5倍ほどもあろうかという仕切り壁に、花や緑が植えられていて、あたかも花壇をそのまま縦にしたようにも見える。目隠しや仕切りと緑化を組み合わせた、大変結構なものであるし、維持管理が容易なものであれば、高速道路の防音壁などを緑化するだとか、建物の壁を緑化するだとか、いろいろと応用ができそうなものでもある。その名称に、わざわざ「ラング」と、肺を意味する単語を持ってきたのは、その記事に曰く、「都市部の炭酸ガス吸収と酸素供給を目指す工夫」なのだそうだ。
 会場を訪れて確認したわけではないが、写真から判断する限り、植えられているのは主に草本からなる花の苗などである。光合成により吸収された二酸化炭素が木質として残っていくような樹木を植林した場合とは異なり、草本を植えても、冬に枯死した部分が微生物により分解され二酸化炭素に戻るので、二酸化炭素の吸収源としてはカウントできない。また、酸素の供給という言葉だって観念的なものにすぎない。というのは、もともと大気中に20%近く含有されている酸素の濃度など、わずか 0.038 % しか含まれない二酸化炭素の一部が光合成により酸素に変換されたとしても、ほとんど影響を受けることはない。後続の新聞記事では、このバイオラングをもって「温暖化対策の象徴と誇る」と述べている。いくら都市緑化の技術としてはすぐれていても、それを温暖化対策と混同して、その象徴とまでうたってしまうのであれば、愛知万博たいしたもんじゃない。植物の蒸散作用によって温度が下がるとか、花や緑が多くてきれいだとか、心が和むだとか、そんな類のことを言ってくれたほうがずっと納得できる。

 このバイオ・ラングについて、更に新聞の続報がでていた。「万博協会が温暖化対策の象徴と誇る巨大緑化壁「バイオ・ラング(生物の肺の意味)」の草花には、植物の活性化を目的につくられた特殊な水が供給されている」というのだ。ここで、この「植物の活性化を目的につくられた特殊な水」とは何か興味をもった。新聞の記事ではこう続く。「同社によると、特殊な水は、天然水には安定した状態で存在しにくい二価鉄を含むのが特徴。植物の枯死の一因とされる酸化を緩和することが実証されているという。」
 開発もとの会社名や、二価鉄などキーワードで調べてみると、どうもこの特殊な水というのは、世の中でパイウォーターとして出回っているものと類似、または同一のもののようである。ところで、世の中には疑似科学とよばれるものがたくさんある。科学的な証明の難しいことでも、いかにも科学的な証拠がそろっていて正しいものであると錯覚させ、消費者の購買意欲を喚起するなどの手法などもそのひとつである。では、今回のその特殊な水なるものも、そういう目で批判的に見てみようか。
 まず気になるところは、記事の中で「同社によると」「~であるという」と書かれていることだ。この一セットの修飾がつくことによって、記事を書いた記者の責任逃れが生じる。つまり、伝聞でありその内容の正しさは保証しません、というわけだ。それなのに、(再び「されているという」と伝聞で描かれているのであるが)「実証」という、ここではそのデータやポインタさえ示されていないために、客観的にはそのデータの正当性や、もっと極端にはそのものが本当にあるのかの判断さえできないような、つまりその信用性が皆無なはずの言葉で、なんとなく科学的に正しいと誤解させられてしまうのだ。
 実際に効果があっても、科学的な証明が難しいことなどいくらでもある。科学というのは、証明できないことを否定するのではなく、証明できないことは単に判らないとしか言わない道具なのだから、もっとシンプルに、切り花が長保ちしたデータがあります、とか述べるのであれば「科学的な根拠は判りませんし、不思議ですが、効果があるのならすごいことですね」と無難に返すことができる。もちろん具体的なデータが示されていない以上「その相関関係(と主張しているもの)だって本当かどうか怪しいぞ」だとか「相関があったとしたって因果関係があるとは限らないぞ」だとか反論してもよい。ただでさえそんな感じなのに、いかにも科学的に判っているかのように「植物の枯死の一因となる酸化を緩和」するのだ、などと具体的に書かれると、(科学的な雰囲気に無条件に権威を感じる人ならばともかくとして、)それは本当なのだろうか、と却って疑いたくなるというものだ。「科学的に実証」したというのなら、科学的な客観性をもって批判に耐えるデータが示されなければならない。実験方法やそのデータ等が公開されているのでない限り、一時はやったピラミッドパワーやヒランヤとなんら変わらない。
 ま、科学的じゃないからと言って別に誰も困るわけじゃない。データを示せ、と言っているのではなく、データが示されない限り懐疑的にとらえられても仕方ないですよ、と言っているだけで、その特殊な水に特別な効用があろうと、実は水道水でも変わらないんであろうと、どうでもよい。いずれは愛知万博に遊びに行って、その緑化壁をみて、へぇ、カッコイイじゃない、とつぶやく予定である。
[PR]
# by shinakaji | 2005-04-06 23:38 | review
dr420 飢えが原動力?
 新聞によると、ポリエチレンテレフタレート、通称PET樹脂を二酸化炭素と水に完全に分解する微生物群について、学会発表があったのだという。他の栄養の無い条件下では、数ヶ月のうちにPET片を完全に分解することの可能な微生物群をみつけたという主旨らしい。
 また、新聞記事によると「安く耐久性に優れ」ているために「大量消費される一方、リサイクルで品質が劣化するため、最終的には埋め立てや焼却処理されている」PETについて、この研究チームのメンバーから「微生物の力で環境負担のない処理ができるかもしれない」とのコメントがあったのだそうだ。

 バイオレメディエーションで、ダイオキシンなどの環境中に微量に存在する有機物の濃度を規制値以下に下げていこうという方法と、この記事のようなPETのように大量にあるものを分解しようということでは、全く意味が異なるのではないか。
 廃棄された大量のPETであれば、1) リユース(再使用:上記記事中の「リサイクル」の語句は、この意味で用いているものと推定する)の可能性を考え、それが不可能であれば次に 2) リサイクル(再資源化)により新たな樹脂原料として用い、それも技術やコスト的に難しいのであれば、3) 燃焼による熱利用(廃棄物発電)の方がよいと思われる。燃焼のためであれば、必ずしも完全な分別も必要ないだろうし。
 これを、微生物によりPET を二酸化炭素と水に分解するだけでは、その酸化反応の反応熱すら利用できないことになるし、その上、反応生成物は、燃焼時と同じである。二酸化炭素を出さずに炭酸カルシウムとして沈着するだとか、メタンガスを発生するので、バイオマスとして利用でき、燃料電池で発電することができる、などというのならば、非常なる利用価値があるといえよう。

 あんな丈夫そうな樹脂が細菌により分解されるというコト自体はとても驚きだ。なんとも微生物の適応能力の凄さには感心させられる。
[PR]
# by shinakaji | 2005-03-29 23:59 | review
dr421 すべきことがすべてなされていれば天下太平
 新聞によると、「京都議定書目標達成計画」の案が決定されたという。その中で注目されていたひとつのトピックスは化石燃料への課税、すなわち環境税の導入である。案の定、導入推進派の環境省と、主に経済活動への影響を懸念する経済産業省との間で焦点となった。22日の新聞記事の段階では、省庁間の折衝の結果、環境税については「国民生活への影響を考慮しながら必要に応じて総合的に検討」するとしていたものが、蓋をあけてみたら、24日の記事では「真摯(しんし)に総合的な検討を進めていくべき課題」などと記載されることになったのだそうだ。

 あくまでも私見であるが、「検討する」から「検討すべき」に変更されたのは、おそらく「検討する」では導入が予定調和であるとの印象が強すぎるとする反対派によるものであろうし、そこをそう変更するのならば、と推進派は「真摯に」の文言を入れさせたのではないだろうか。環境省は06年度からの導入を目指しているとのことである。自分自身が自家用車を利用しない生活を送っているからかもしれないが、僕個人とすれば、どうせ掛かるお金ならば全体からまんべんなく徴収するよりも使用者や受益者が負担するシステムとしての環境税に賛成である。

 また、実は経済に与える影響としては、環境税よりも、この達成目標に同時に検討課題として盛り込まれる「国内排出量取引制度」の方が大きいかも知れないと思う。新聞によると「企業に温室効果ガスの排出上限を定め、これを超えて削減した企業がその分を市場で売ることができる「キャップ・アンド・トレード」と呼ばれる方式を想定」しているのだそうだが、「これを越えて削減した企業がその分を市場で売る」ということは、逆に「これを越えて排出した企業は、その分を市場で買わなければならない」ことになるわけだろうから、現在、温暖化ガス対策の遅れているような企業にとってはこのキャップのありようによっては死活問題になりかねないと思われる。

 この案は、パブリックコメントを経て、5月初めにも閣議決定される見通し。
[PR]
# by shinakaji | 2005-03-29 23:59 | review
dr422 戦隊モノならアカがトップなのに
 新聞によると、中国のKFCで経営の最高責任者氏が、フライドチキンを食べるパフォーマンスをして安全性をアピールしたそうだ。日本でも同様の光景は珍しくない。ダイオキシン風評被害の時も、O157問題の時も、JCO臨界事故の時も、首相は野菜やらメロンやらを食べていたように記憶している。
 スーダン色素は、通常、工業用染料として使われる赤色着色料で、中国をはじめ、ほとんどの国で食品への添加は禁止されている。2月18日に英国政府が、英国内で販売されていた食品(ウスターソース等)からスーダンレッドが検出されたとして回収命令を出したことから騒動になり、中国でも調査が行われていたもので、順調に(?)カップ麺やチリオイル(辣椒油)、漬け物(大根の唐辛子漬け)などの食品で見つかっていた。3月16日には、中国のKFCでローストチキン商品2種にスーダンレッドが検出されたことが明かとなり、日本でも、大々的に新聞記事となった。中国の共産主義を揶揄して、さすがアカの国だというようなコメントもネット上では散見されていた。
 今回の事件は、ローストチキン商品2種の調味料に使われた唐辛子粉の中に、スーダンレッド1が含まれていたことが原因であるとされる。

 隣の国でのできごととはいえ、ひと月以上かけてイギリスから中国に飛び火した。対岸の火事とはいえ、日本ではこのあと類似の騒動が起きたりはしないのだろうか。

 とはいえ、過剰に反応すべきものでもないと考える。発ガン性や遺伝毒性が疑われていて、なおかつ食品に使用することはほとんどの地域で認可されていない色素が食品に入っていたことについては、もちろん、是とはしないが、毒性データや検出された量のデータといったものがほとんど公開されず、「食品に発ガン性物質」といった情報のみが報道されているのもいかがなものかと思われる。ほんのわずかな発ガン性物質も許容されるべきでなくゼロリスクでなければならない、といった意見を持つヒトは、タバコはもちろんのこと、焼いた魚も食うべきではないし、その他の食品もさまざまな種類のものも気をつけて避けなければならないだろう。少しは某昼番組の司会者氏のように、何を食べても健康になってしまうといったポジティブシンキングを見習うべきであろう。
[PR]
# by shinakaji | 2005-03-29 23:59 | review